イノリ…4
「何だい?」
「浮遊の呪文でわからない所があって、ジェームズに聞きに来たんだけど。今大丈夫?」
つい、冷たく当たってしまった。
リーマスには何の非もない。
一方的に、僕が当たっているだけだというのに。
彼が少し困った顔をして、今更後悔の念がよぎる。
「いや、大丈夫。どこだって?」
「教科書の285ページなんだ。ここの…」
一体僕は何がしたいんだ?
リーマスに嫉妬して、愛想笑いを浮かべて。
リーマスを仲間にしたのは、この僕だというのに。
「ありがとう、ジェームズ。助かったよ」
「お安い御用さ」
しばらく考える時間を要する…。いずれにせよ、このままじゃいけない。
僕は今、かなりキツイ所に立っていると気づいた。
僕は相談を受ける側で、相談することに慣れていない。
従って、その相手がいないということだ。
自分自身で解決しなければならない。これからの為にも。
「じゃあまた変身術の授業で」
「あぁ、また後でね」
リーマスに別れを告げ、僕はマグル学の教室へ向かった。