イノリ…7
マグル学がこんなにもつまらないと感じたのは、今日が初めてだった。
「ポッター?早く読みなさい!155ページです!」
「あ…はい」
どうでもいいと思った。
僕は今まで、みんなにとってどんな存在だったのか。
僕は周りの目しか気にしていなかったんだ。
「このように構築された金属の個体は、各部所へ――…」
いたずらをするのも、大勢に語りかけるのも、全ては僕の計算の内で、彼らはきっと将来僕らに味方してくれる存在になると信じていた。
だから今まで僕は、成績優秀で、人気者のジェームズ・ポッターを演じていた。
だが、その必要はなくなった。
それが迷惑千万だということを、たった今、愛する者から告げられたのだから。
「何よ、さっきの授業」
「あぁ…リリーか」
「やる気あるわけ?」
「ないね。もうどうでもいいんだよ。人生に狂いが生じた。完璧なはずだったのに」
首席になって、一番で卒業するはずだった。
残さなきゃならない。僕が生きた証を。形にして、留めなければいけないのに。