イノリ8

 

 

「ふざけないで!あなた一体自分を何だと思ってるのよ!?」
「ただのろくでもない男さ。キミに言われるまでは、自分は英雄だと信じていたのに」

だって、そうでもしないと、僕はここまでやってこれなかった。
ヴォルデモートに狙われている以上、僕の未来は保証されない。
誰が僕の栄光を、子供に教える?誰もいない。だったら、形で残すしかないじゃないか。

「僕が形にこだわるには、訳があるんだよ」
「どうして?」
「理由を聞くと、キミは仲間に入らざるを得ない。裏切りが許されない、僕らの仲間に」

他言してはならないから。
危害を与える可能性も出てくる。

「いいわ。あなたにみせてあげる。私の覚悟を」

それがどういう意味かは、僕にはわからなかった。
わかろうとしていなかっただけなのかもしれない。

「じゃあ話そう。ここでは不味いから、今夜、談話室で」
「わかったわ」



恐れていただけなのかもしれない。僕から肩書きをとれば、何もないということを知られるのを。
ただの、平凡な人間だということを。
人より秀でていたいがために。