赤い華1
ジェームズ・ポッターが、彼女…リリー・エヴァンスに興味を持ったのは、確か三年生の頃だった。
彼女の存在こそ知っていたものの、実際話したのが三年生の時の入学式だった。
赤い髪、深緑の瞳、ジェームズよりも小さな細い躰。
その日たった一言、彼女は言った。
「ごめんなさい」
ただ、道を譲ってもらうために発した言葉なのだが、ジェームズはその明るい声にも惹かれた。
「リリー・エヴァンス?」
リーマスがオウム返しに尋ねる。
「あぁ…レイブンクローの…。どんな人って聞かれてもね。キミの方が詳しいんじゃないかな」
あっさり流されてしまったジェームズ。
「だってキミが聞きたいのは誕生日や血液型よりも深いところだろ?ボクが知ってるはずないよ」
確にリーマスは他人との関わり合いがない。
親しいのは、ジェームズ達だけなのだ。
「噂とかもないのかい?」
「美人で秀才、意志がはっきりしてて、かなりモテる」
廻りに廻りきった噂だ。
「わかったわかった。自分でなんとかするよ…」
初めからそのつもりではいたが。
ジェームズの作戦は、ここから始まる――…