赤い華11

 

「ん?リリー、どうしたんだい?何かあったのかい?」
「とぼけないで!早くおろしてよ!」
リリーはわめいたが、ジェームズの力には勝てない。
「ポッター!」
「僕はいたって真面目だよ。君のことも、真剣だし」
何か不満?というふうに、目で問掛けてくる。
「さぁ、もうすぐ会場だ!」
扉がシリウスとリーマスによって開けられた。
「お待たせしてすみませんでした!始めましょう、ダンスパーティーを!」
赤い絨毯が、ジェームズとリリーが歩く道に沿って敷かれていた。ジェームズがリリーをおろす。
「お姫様、僕と踊って頂けませんか?」
右手の甲に、ジェームズはキスをする。
「…約束は約束だからね」
顔は不機嫌そのものだったが、リリーは、こんなシチュエーションも悪くない、と思った。
「エスコート致します、お姫様。私めの手をお取り下さい」
ジェームズとリリーは、緩やかなメロディーと共に、優雅なステップを踏んだ。
まるで絵になるような二人だ。
「あのままくっついてくれりゃ、オレ達も楽なんだかな」
シリウスが、ヒソッとリーマスに愚痴を溢した。