赤い華14

 

「ダンブルドア先生。やはり…シリウスに任せます」
重々しい空気が漂う中、ジェームズは静かに呟いた。
「万が一おぬし達の誰かが、奴と密接しておっても…じゃな?」
返事は変わらなかった。
「はい。彼らを信頼しています。であるからして、親友をないがしろにするのは道理に合わないのです」
本当は、一抹の不安も、先々の自分の運命も、全て奴の思うままになってはいるのだろう、と胸中で毒付くジェームズ。
しかし、自分がどうなろうが、自分と仲間になった彼らを、危険な目に遭わせるわけにはいかない、と強く思った。
「奴に対抗できるのは、僕ではない。先生だ」
「買い被りすぎじゃよ、ジェームズ。ワシにも可能なことと不可能なことはある。魔法使いとて、所詮は人間じゃからのぅ」
ダンブルドアは遠くへ目を向けた。何かを探すような瞳で。
「しかしそれならば奴とて人間。キーワードは子供じゃよ。おぬしに足りないものを持つ、新しい世代の」
即ち、それはジェームズが誰かと結婚しなければならないことを意味していた。
「もう見つけたんじゃろ?」
いたずらっぽく笑うダンブルドアには、全てお見通しのようだ。