赤い華15

 

「シリウス。キミに…何もかも押し付けるようで悪いんだけど、キミに秘密の守人になってほしいんだ」
勿論、ジェームズ達の中で、一番可能性のある人物だと見込んで、の頼みだ。
「オレで…いいんだな?」
「キミに決めたんだよ」
どんなに自分が傷付いても、例え死んだとしても、彼らを信頼しているから、好きだから、許せる結果なのだ。
「わかった。死んでも守る」
どれたけ、この言葉が心強いことか。まるで闇に呑まれた自分を、一つの一等星が照らすかのようだ。
「キミは…これからもそんな存在であってほしい…」
口の中で呟いた言葉は、恐らくシリウスには聞こえていないだろうが。
「やっぱり、話してくるよ。リーマスとピーターに」
にっこり笑って、シリウスの前から立ち去った。
強いというのは、彼のことを言うのではないか。
自分が、ヴォルデモートに狙われているにも関わらず、ああやって笑っていられるのだから。
シリウスは、とても真似できないと思った。
「死なせねぇ、絶対」
死なせてたまるかよ。
決意は固く、胸中に貼り付けられた。