赤い華19
「命を狙われているんだ。当然…キミ達にも被害が及ぶ。正直、守りきれる自信がない」
ジェームズらしくないことを言う。
それは、いかに強大な敵が待ち受けているかということを意味していた。
「逆だ、ジェームズ」
突然低い声がした。振り返ると、そこには悪友の姿。
「シリウス…逆ってどういうことだい?」
疑問を投げ掛ける。
「こっちが守る側だろ。だけど…どんなに秘密の守人がすごくても、オレ達は奴に対抗できるかどうかわかんねぇ」
だから逆だというのか。
お互いに、守るべき大切なものがあるのに。
「あたしっ…ずっとあなた達がうらやましかった。兄弟のように仲がいいんですもの…どんな困難も、くぐりぬけられそうな、あなた達の結束が…あたしにもあればいいと、ずっと思ってた」
信頼や友情を超えた、確な絆。
誰もが羨ましがる、彼ら。
「じゃあ…リリー。僕らのこの男臭い仲に、赤い華を咲かせてくれないか?」
キミという、赤い華を。
「なっ…」
キザで、ナルシストで、だけどカッコよくて。
リリーは赤くなった。
「僕と付き合ってください」
そっとさしのべられた手は、まるでどこかの国の王子様のようだった。