赤い華8

 

「そんなに怒らなくても…」
わざと淋しそうにはしたが、声が笑っている。
「迎えに行くから待っててね?とっておきを用意するから☆」
嬉しそうに言うジェームズをよそに、リリーは信じられないという顔で、ジェームズを凝視した。
「結構よ!!」
そんなジェームズにさらに腹を立てたのか、プイッとソッポを向く。
しかし、何故かリリーの中に罪悪感が残った。
「ポッター…?」
「ん?どうしたの?」
微かな声だったはずなのに。ジェームズはそれさえも聞き取ってしまうのか。
「…勘違いしないでよ。あたしは、あんたなんか嫌いなんだからね!?」
と、また口から要らぬ言葉が出てしまう。女の子なんだから、少しくらい可愛いげを見せるべきなのだろうが。リリーにはどうしてもできなかった。
「うん、今はそれでも構わないよ。いずれ僕がキミを落としてみせるから」
なおも嬉しそうに笑う。一体何が、彼にそのような自信をもたらすのだろうか。
「…やれるもんならやってみなさいよ!」
リリーは売り言葉に買い言葉で、そう叫んでいた。