It's a secret.2

 

夜、ジェームズがコソコソ動いているのは承知の上だった。だから…彼等は、忍の地図でジェームズの居場所を突き止めることにしたのだ。

「――…死ぬことが恐いなんてな…」
みぞの鏡が映していたのは、結婚した自分と、隣で笑うリリー、二人の子供、シリウス、リーマス、ピーター。望みを映す鏡。決して叶うことのない望み。それがわかっているから望んでしまう。
「永遠に続く幸せなんて…僕には与えられていないのに」
ウ゛ォルデモートに狙われているからだろうか。自分が心のどこかで、シリウス達を遠ざけようとしているからだろうか。
「ジェームズ…お主もこの鏡の虜になってしまったんじゃのぅ…」
不意に現れたのは、ダンブルドアだった。
ジェームズは、後ろを振り返りもせずに立ち上がった。
「――…先生。彼等を…守る方法を教えて下さい」
もはや鏡の虜というよりは、鏡を見て固めた決意だった。
「僕は…卒業すれば死は確実。でも…彼等を死なせたくない」
自分の身を犠牲にしてでも、守れるモノがあるならば、喜んでその道を選ぼう。
彼等を救えるのなら、守れるなら…尚更。
「鏡に金輪際近付かぬならば」
授けようぞ、その道を。一番確実であろうその方法を。
「しかし、大いなる信頼と、絶対的忠誠が必要じゃ。それが可能ならば」
「不可能にはさせません。絶対」
決意は変わらない。先が見えないことを、これほどまでに恐れたことはないから。
「よかろう。…出てきなさい」
ジェームズは目を丸くした。驚いてそちらを振り向く。
ダンブルドアが促した人物は紛れもない。
「シリウス、リーマス、ピーター…」
眠そうな目をこすって、必死に目を開けるピーター。苦笑いをするシリウス。唯一怒っているリーマス。
「…手を貸してもらうなんて…卑怯じゃないか、シリウス」
やり場のない視線を床に向ける。
「そんなルール、聞いた覚えがねぇなぁ?」
きっと、シリウスは照れながら笑っているに違いない。