It's a secret.3

 

「カケを持ち出すのは、オマエが絶対勝つ自信がある時だ。どんな手札を持っていようと、何を隠していようとな」
ニッと笑うシリウス。すると横槍を入れるリーマス。
「馬鹿なこと云ってないで。いいかい、ジェームズ。ボクらは怒ってるんだ。キミとのカケ――…明らかに勝負はわかっていた。こっちには地図があるからね。キミはそれでも条件をふっかけてきた。飽く迄、ボクらに探させた。…何故だい?何故自分から云わないんだい…?」
昔、キミが言ったように。ボクに、キミが言ったんだ。
「親友を…信頼しろって…何かあったら云えって。――…信頼するのは、ジェームズ。キミだ。違うかい?」
誰も口を挟めなかった。正論過ぎたからだ。
しばらく沈黙が続いた。一分だったのか…二十秒だったのか、それすらもはっきりとは覚えていない。
ただ、酷く長い時間だった。
「わかってるよ」
沈黙を破ると同時に、ジェームズが答えた。
「恐れていた…キミ達と仲良くなるうちに、ウ゛ォルデモートに狙われているという実感が酷く強くなって、失うことを恐れた。キミ達を危険に晒してしまう。だけど僕は無力だ。不安と恐怖が頭の中を支配した。誰も犠牲になってほしくなかった。キミ達が助かるなら、僕は何だって受け入れる覚悟でいた」
溜っていたモノを全て吐き出すように、ジェームズは喋った。
「ダンブルドア先生に頼んだのは、その…オマエが言う道ってヤツなんだな?」
無言で頷く。ハァーと重く、そして呆れ混じりの溜め息をはく。
「オマエさぁ、自分の云ったこと、実行したらどうだ?」
え?とシリウスを見る。どういうことなのか、ジェームズにはわからなかった。
「オレ達はさぁ、オマエや…コイツらのためなら命棄てる覚悟だ。だから、んなしょうもねぇこと考えんな。いざとなりゃ、盾にでも何でもなってやるから」
そうではないんだ、シリウス。違うんだよ…
「死んでほしくない」
ただ、それだけ。
「わかってるよ。オレらだって、オマエに死んでほしくなんかねぇよ。だから守る。オマエもそうすりゃいい。どっちが死ぬとか、そういうんじゃねぇ。オレ達は。生きるんだよ、ジェームズ!」
ダンブルドアがキラキラした瞳で嬉しそうに、ジェームズを見つめていた。
良い親友をもったのぅ、ジェームズ。
そう語っている瞳だった。