Snow drop 1
別にたいしたことじゃなかった。
キミが愛しくて仕方なかった。
ただ、それだけなのに。
「ケンカでもしたの?」
ズバリ的中しているところが、さすがはリーマス。
「好きな気持ちだけは、誰にも負けないんだけどね…」
「リリーも気難しいからね。早目に手を打っとかなきゃ、来週ハロウィーンパーティーだよ」
現実をありありと見せられるとは、まさにこの事だろう。
「わかってるんだ…けどどうしていいかわからない」
それも現状であって、解決策が見つからない。
「リリーのことになると、冷静さを失うんだよね」
愛が原動力であり、彼女のためなら火の中水の中。
それでも変わらない現状。
事の起こりは、昨日の夜。
僕とリリーが仲良く談話室で話しているときだった。
「ねぇジェームズ。私のどこがそんなにいいの?」
「全部だよ。何もかもひっくるめてね」
「答えになってないわ?具体的には?」
具体的にとか言われても、なんせ全部好きなんだから答えようがない。
「全部だよ。キミのどんなところも、僕は全て愛しく想う」