Snow drop 5

 

 

「愛してるわ、ジェームズ」

涙が出そうになった。
彼女から、初めて愛していると言ってくれた。
もう、キミ以外何も望まないと思えた。

凍えそうな、こんな冷たい空気に触れているのに、僕の身体はこんなにも熱くて。
音のない世界に、僕の鼓動だけが静かに響いている。

純白の景色に、リリーの髪の赤が栄えている。

僕は幸せだと告げるかのような、そんな雪の日。

「ボーッとしないで!あなたのローブに入れてくれないかしら。寒くて死にそうよ」

笑った彼女の顔からは、もう刺々しい雰囲気は消えていた。

これも――…僕を素直な心にしてくれた、この雪のお陰なんだろうと思った。

「勿論だよ、僕のリリー」



誓うよ、この血にかけて。
キミを守り抜いてみせるって。

いつまでも、キミには、この雪のような、真っ新な心でいてほしいから。




      (end)